武富士の弘前事件に思う
 5月8日に起こった「ガソリンまいて火をつけられた」事件。5名もの犠牲者を出したためニュースとして大きく取り上げられたのでもはや知らない人は少ないと思う。そして、「やっぱり」、類似犯行があちこちに出ている。業界の防犯マニュアル「強盗が来たらまず身を守るために金を渡す」が表に出てしまったのだから、ある意味当然の結果。今後も同じような出来事があるのだろう。

 こうした問題への業界の対応は非常に微妙なものがある。どのような防犯対策をやっているかを詳細に公表してしまっては、その裏をかく犯人というのが必ず出てきて防犯効果が減少する。本当は、「身を守るために金を渡す」だけでなく、その後犯人逮捕につながる対策も考えられているのだが、そんなことは公表できない悩ましさがあるのだ。せいぜい「警備員を増やした」くらいしか言えない。だからといって「消費者金融会社の防犯はスキが多い」と批判されても困るのだ。
 消費者金融会社の場合の「まず金を渡せ」は店が保有している手元現金が少ないせいもある。すでに自動契約機とATM利用が大半になっているため、一定額以上の現金は機械の中にしかない。それを出せと言われれば逆に時間稼ぎに好都合となる。まずそこが、銀行とは違うところだ。つまり、リスクを犯して強盗した効果を考えると、消費者金融会社というのはその辺の小規模事務所を襲うのと大差ない話となる。

 最も高い防犯効果は(どんな場合にも当てはまるが)犯人が捕まることである。「ヤリ損感」が定着すれば、迷える犯行予備軍を防ぐことが出来る。マスコミにお願いしたい。今、武富士弘前事件の延長として消費者金融強盗がことごとくニュースに取り上げられているが、弘前事件だけでなく他の強盗事件で犯人が捕まった折りにもきちんと報道してもらいたいものだ。