個人信用情報交流の意味と不安ちょっと長いです
最近、マスコミに相次いで「消費者金融で借りた情報が銀行に流れる」というような報道があった。
これは、消費者金融会社が利用している個人信用情報センター「全情連」が、他業態向けの新しいデータベースを構築して、そこに消費者金融の情報を提供しようという試みが9月にも始まることのニュース。ただ、報道には間違いもあって消費者金融、クレジットを利用している人の問い合わせが多いようなので「正しく」説明したい。
このコーナーの中の「個人信用情報って何」に記載しているとおり、現在銀行、クレジット、消費者金融の3業態はそれぞれが設立した情報センターで個人信用情報の交流を行っている。過剰融資防止のために各業界が設立したものだが、多重債務の増加で昭和61年に3機関は異動情報(延滞、不払いの情報)のみの交流を始めた。ただし、将来的にはホワイト情報も交流するよう努力する条件も付けられていた。
それからの間、自己破産の増加や多重債務が問題視されるたびに、ホワイト情報交流の必要性が問われてきた。大蔵省・通産省の共同懇談会では、ホワイト情報交流を指導しながらも具体化できない様々な問題もあることから、業態別の枠組みを外し、他業態も入会させることで実質的なホワイト情報交流を図ることを方法論の一つとして打ち出した、これが今回全情連が作る新データベースのきっかけ。
全情連では、他業態をダイレクトに会員にするにはプライバシー保護の法的な未整備や、消費者が受けるデメリットの問題もあるとして、他業態向けのデータベースを別に作り、そこに消費者金融からの借り入れ情報を限定的な形で提供する仕組みを作った、というのがことの経緯。
基本的な構想では、
@会員対象となるのは個人向け債権を持つ銀行以外の業態
A消費者金融のデータベースから提供される情報は借り入れの件数
B情報漏洩・目的外利用などに関する厳しい罰則規定を設ける
となっており、報道のように銀行に情報を提供するものではない。
報道では、銀行本体を会員にしなくても銀行系列の会社が入れば、銀行に提供しているも同然のように書かれているのもあるが、そんなことをしたら立派な「目的外利用」で除名対象となる。そこまで銀行は信用されていないのかなあ。

ただし、全く問題がないとは言えない。
そもそも、自己破産の増加だ、多重債務問題だというと、その解決策のように「ホワイト情報交流が当然だ」という考え方はおかしくないのか。この論調の裏には、お金を借りる人は家計コントロールのできない人だから、社会的インフラでもってコントロールしないとみんな破産する、という差別意識が働いているように思う。また、多重債務化した人が「自分が多重債務になったのは金を貸すからいけない」と責任を転嫁する傾向があるのも拍車をかけている。一般の利用者の立場、意見はそこにはないのだ。
全情連の登録人数は1400万人。増加しているとは言っても、年間の個人破産者数は12万人。1%に満たない。また、平均借入件数は約2件ということから考えても、大多数は自己コントロールの中で利用しているのだ。その人たちが、「多重債務解決」の号令のもとにより多くの企業に自分の情報を見られるようになるということだけは間違いがない。
消費者信用産業にとって個人信用情報は大事なインフラだが、あくまでも審査の一つの基準にすぎない。情報センターをがちがちに整備しなければ商売ができないというのであれば、自らノウハウの確立を放棄していることになる。しかも、情報センターの情報は完璧だと誰が保証できようか。情報センター整備に注力するのは当然のこととしても、業界人を名乗る以上それに責任を押しつけるようなことであっていいのだろうか。
なるほど、銀行はリテール進出をしたいだろう(それも自分の利益のために)。だが、情報さえみれれば商売できると考えるのはお門違いなのではないだろうか。
消費者信用産業界(信販、クレジット、消費者金融)は、情報などないときから自らいろいろな方法で与信判断をしてきた。その蓄積と業界が必要最小限で構築した情報センターの情報との相乗効果で、市場を拡大してきたのだ。
アメリカは業態別などではないが、なにしろクレジット履歴はマイナス情報ではなく、プラスの情報としてみられるという土壌を持っているのだから、社会環境が違いすぎる。ホワイト情報交流は市場を肯定的に見れる(今のように差別的ではなく)時を待たなければ、一般消費者のデメリットの方が大きいような気がするのだが、どうだろうか。



新データベースと全情連データべースの間で交流される情報
本人要件
残高有り件数情報
破産申立・死亡情報
本人申告コメント情報
照会記録情報